DXサークル活動

DXサークル活動とは

DXサークル活動は、生産現場で行われてきた小集団カイゼン活動であるQCサークル活動にデジタル技術を加えることで、品質向上や生産性向上、コスト改善を実現する新しいカイゼン活動の名称です。現場の知恵をデジタル技術で強化し、効率的で持続可能な改善活動を推進します。

DXの普及やQCサークル活動の問題

DXの言葉が登場して久しくなりますが、生産現場における導入はまだまだ不十分な状況です。何をやったらいいのか分からない、人も予算も不足する。これはトップダウンでDXをやれと言われても現場はDX化のイメージが分からない/共有できないのが最大の理由です。

また多くの製造業で導入されているQCサークル活動も、マンネリで効果が上がらないという意見が見受けられます。QCサークル活動は現場主導のボトムアップ活動であり、従来の人+設備の環境の制約の中でカイゼンを頑張ろうとしても限界があるのが主な理由です。

成功するDXのパターン

中小企業でDXに成功している事例に着目すると、あるパターンが見えてきます。それは、ほどよいトップダウン、ほどよいボトムアップ、スモールスタート、可視化の相乗効果の組み合わせです。

  • ほどよいトップダウンは、「会社はデジタル化に取り組む方針を定め、デジタル化の投資も認め、その改善効果を定期的に評価する」ことを明確にしつつも、DXで「何を・どうするか」の主導権は現場に与えます。
  • ほどよいボトムアップは、「デジタル化にお金を使えるカイゼン活動をやっていいと理解し、デジタル化するとここが良くなるのではと皆で考え、実際にトライして効果を得る」という小さな成功を重ねてスケールアップしていきます。
  • スモールスタートとは、DXに対して身構えず、手間もお金もあまりかからない小さなことからデジタル化のカイゼン活動を始めるやり方です。
  • 可視化の相乗効果とは、デジタル化で得たデータの可視化で今まで見えなかった潜在的な問題が発見できるので、次々とカイゼンが進みます。

今までの様なDX導入ありきのDXファーストではなく、現場の知恵をデジタルで強化する「現場ファースト」が、効率的で持続可能な改善活動を推進する重要なポイントです。少しずつ小さな活動を何度も重ねることでメンバーもデジタル化に慣れ、規模も自然に拡大していきます。ここまで来たらDX化は成功と言えるでしょう。この様に自然にDX化とカイゼン活動を成功に導くのが、DXサークル活動です。


DXサークル活動の特徴

従来のQCサークル活動は、以下の6つの手順で進めます。

DXサークル活動手順

DXサークル活動は、改善プロセスにデジタルのチカラを活用する点がポイントです。

  • ①メンバー・リーダー選定
    DXサークル活動は極端に言えばデバイスを買えば終了といった小規模なものも多いため、特にグループを組まずに所属する部門内でメンバーが自然に集まる様な形でもよいと思います。ただし成果表彰のため関わったメンバーは明確にしておきます。
  • ②テーマを選ぶ
    自動化、遠隔監視、環境対応、通知などデジタル化で解決しそうなテーマを選びます。小さな成功を重ねると視野が広がりテーマは自発的にどんどん出る様になるでしょう。
    例>工場生産部門のCO2排出量の20%削減がテーマになったとします。
  • ③現状把握
    デジタル化の最大のメリットは現状と改善後の効果を数値で比較検証できる点です。そのためには計測可能でデータに出来ることが大切です。計測は人手によるものやセンサーを活用できるものがあります。
    例>各設備に積算電力計ワットエクスプローラを設置して、現状の積算電力とCO2排出量を可視化します。
  • ④可視化に基づく課題分析
    デジタル化で現状が可視化されると現場に潜んでいた問題にすぐ気付きます。
    例>可視化データから、設備A,Bのムダな待機電力が大きいことや、設備Cの電力のムラが大きいことを発見します。
  • ⑤カイゼン立案・実行
    気付きに基づいてカイゼンを行います。
    例>設備A,Bは夜間電源を落とし、設備Cは問題を起こしていたジョイント部をメンテすることにしました。
  • ⑥効果確認・発表・共有
    効果を検証し表彰します。優れた活動は社内外の発表や情報共有を行います。
    例>CO2排出量削減20%を見事にクリア、電気代削減効果も含め社長表彰を受けました。

DXサークル活動で得られる効果

  • 品質不良削減
    手書き入力や人による検査や設定作業は、作業ミスや不良品の発生要因になりがちです。デジタル化で人的作業を削減すると作業ミスが減り不良品の発生を抑えます。またデータ分析による課題の特定と改善も不良率を低下させ、製品品質の向上につながります。
  • 生産性向上
    漫然と行っている作業に潜むムリ・ムダ・ムラをデジタルのチカラで可視化できると、次に打つ手が明確になり改善活動が加速します。
  • コスト削減
    作業の自動化や効率化で省人化を実現。また不良品の削減や材料費修理費などのムダなコストを抑えることで利益率が向上します。
  • コミュニケーション改善
    成果が得られる小集団活動は自然に部内のコミュニケーションが盛り上がります。またほどよいトップダウンとボトムアップで経営者と従業員の意思疎通も図れます。
  • 社員の意識改革
    データの可視化で得られるインパクトは相当なものがあります。当社の例では空調機の室外機を清掃しただけで電力消費量を23%削減が可視化され皆が驚く出来事があり、そのインパクトを受けてさらに改善の機運が加速しました。
  • 働き方改革の推進
    省人化によって過度な負担が解消され、現場従業員の働きやすい環境を実現。労働力不足にも対応します。

「ムダな作業を削減し、品質と生産効率を飛躍的に向上!」
DXサークル活動は、デジタル技術を活用して現場の改善活動を進化させ、ムダを省き、新たな価値を生み出します。
デジタルの力で現場改革を共に進めていきましょう!

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